・・・快適な居住空間創造の為に・・・

◆ 音について

普段私たちは、何気なく会話を楽しんだり音楽を聴いたりしています。では音というのはどのようなもので、どのように伝わるのか簡単に説明します。
音は空気の粗密波が伝わる現象で、気体や液体及び個体を媒質として伝わります。
これを人は耳から知覚し情報として処理しますが、感覚的には音の大きさ、高さ、音色といった音の三要素があり、物理的には音の強さ、周波数及び周波数成分が関与します。
通常の人の可聴範囲は、聴力の正常な若い人で20Hz~20,000Hz以下といわれ、人の声の周波数範囲は女性で200Hz前後~8,000Hz前後で、男性が100Hz前後~8,000Hz前後と言われています。
建築の音響設計や音響測定をする場合には、63Hz~8,000Hzの周波数範囲を重要視しますが、特に125Hz~4,000Hzは大事です。

◆ 快適な空間に要求される音とは

例えば人が音楽を聴いた時、好きな人にはサウンドであり嫌いな人にはノイズでしかありません。
このように物理的なものだけでなく感覚的に左右される音は、人にとって重要なものであり、当然生活する空間にはその室の用途に応じた音環境が必要なのです。
(1) 室にとって邪魔な騒音がないこと、またその室の音が洩れないこと。
(2) 室の音の空間分布が、均一であること。
(3) 室にあった適正な響き(残響時間)であること。
(4) フラッターエコー、ロングパスエコー等の各種音の弊害をなくして音の明瞭度を高めること。

◆ 最適残響時間(推奨値)及びその求め方

最適残響時間は、室の使用目的及び室容積によって表-1のようになり、またその周波数特性は表-2のようになります。
室の使用目的及び室容積が決まれば、表-1より500Hzの残響時間を求め、次に表-2より周波数特性を求めます。周波数特性は、音楽の場合低音域を少し長めにし、話が主体の場合は全域フラットな特性が良いようです。

グラフ
グラフ

◆ 室の使用目的別音響必要条件

  室名 平均吸音率 残響時間RT(秒) 許容騒音レベルdB(A)とNC値
ホール コンサートホール 0.20~0.23 1.5~2.1 30dB(A)・NC-20
オペラハウス 0.20~0.25 1.1~1.6 30dB(A)・NC-20
劇場 0.25~0.30 0.8~1.1 30~35dB(A)・NC-20~25
教会堂 0.20~0.23 1.3~1.6 40dB(A)・NC-30
多目的ホール 0.25~0.30 1.1~1.6 35~45dB(A)・NC-25~35
スタジオ 一般スタジオ 0.25~0.35 0.5~1.0 30~35dB(A)・NC-20~25
スピーチスタジオ 0.35~0.40 0.3~0.8 30~35dB(A)・NC-20~25
録音スタジオ 0.30~0.35 0.3~0.5 30~35dB(A)・NC-20~25
その他 音楽鑑賞用リスニングルーム 0.20~0.25 0.6~0.8 35~40dB(A)・NC-25~30
居間兼用リスニングルーム 0.25~0.35 0.6~0.8 35~40dB(A)・NC-25~30
会議室 0.25~0.30 0.7~0.9 35~40dB(A)・NC-25~30
事務室 0.20~0.30 0.5~1.0 45~50dB(A)・NC-35~40
宴会場、集会場 0.30~0.35 1.1~1.6 50dB(A)・NC-40
集会室、講堂 0.25~0.30 1.1~1.6 40~45dB(A)・NC-30~35
映画館 0.25~0.35 0.9~1.3 40dB(A)・NC-30
屋内体育館 0.20~0.30 1.3~2.3 50~55dB(A)・NC-40~45
大競技場 0.20~0.30 1.5~2.5 55~60dB(A)・NC-45~50